八百万の森

やおよろずのもり キャンプ☆DIY☆いろいろ

Victor カラクリ仕掛けのレコードプレーヤー JL-F44 のリフト動作を修理

4月に掲載した Victor のレコードプレーヤー QL-F5 に似ているのですが、そうではなく JL-F44 です。

これまた埃だらけの状態で、ただZ-1sカートリッジ付きで1,000円だったので、カートリッジ欲しさに思わずゲットしました。

20190520_060522_asus_z00ed

F5はダイレクトドライブのクォーツロックですが、F44はストロボスコープで調整するタイプとなっていて、同じ年代シリーズの下級グレードにあたります。F5よりは1万円安く 1981年ごろ発売 39,800円です。

埃を吹き払い磨くと、少し錆が気になるものの使用できる状態。動作確認したところ、トーンアームリフターの上下動作がほとんどしませんでした。一応リフトの高さ調整(リフトの軸を留めてあるようにみえるマイナスネジをまわすことで調整できる)でかろうじて盤面に針が当たらずオートリフトアップするようになったので、レコードを載せ聴いてみると回転は安定して普通に良い音が出ました。

20190526_211558_asus_z00ed

トーンアームの動作不良ということがわかったので、中の機構を覗いてみました。

20190526_085146_asus_z00ed

アーム動作の機構はバネとテコそしてカムギアを使ったオール機械仕掛け。透明にして見せたら面白いぐらいに凝ってます。道理でアームの動きがからくり人形みたいにカクカクするわけです。F5も同様な外見で同じ動い方をするので同機構と思われます。

この年代以前のフルオートプレーヤーならだいたいこのようなものですが、回数指定のリピート機能も機械仕掛けのため少し複雑です。

このレコードプレーヤーを現代に復活させたら逆に高くなりそうですが、シャーシーや部品は透明にしてカラクリを見せるようにしたら付加的に面白いような気がするのですけどね。

20190526_085316_asus_z00ed

機構の仕組みは、テコの両端に引っ張り合うようにバネが配置してあり、そこにカムギアで作用させてバネ同士の微妙なバランス加減で動作を実現しています。

今回の不具合は、このバネが弱まっていることが分かりました。

20190526_085354_asus_z00ed1

少し強引ですが、バネの途中で引っ掛けて強制的にバネの力を強めて調整しました。この時代の(応急?)修理としてよく見かけた方法です。これで調整が出来なくなってきたら、同じようなバネをホムセンなので購入して取り換えて調整したらよいだけですが、絶妙なバネバランスの調整は少しトライアンドエラーが必要になるでしょう。

20190519_191911_asus_z00ed

オートリフトも調子よく動作するようになりました。ストロボスコープで調整するレコードプレーヤーも良いですねぇ。
・・・と思う自分に自己突っ込み(^^;
いや、3台も4台も要らないでしょ、もとはカートリッジが欲しかったのでしょうが・・・

20190526_215812_asus_z00ed
(なんだか増えてきたレコードプレーヤー回り:そろそろ整理せねば)

この年代の機種は Victor の機械仕掛けのフルオートプレーヤーの最終バージョンでした。この後1982年ごろから、私がワンオーナー?で持っているQL-Y33といった電子制御によるリニアタイプが主流になるのでした。発売は1年ちがいでしたので、今回の機種もディスカウントがきいて、当時入手候補の一つで迷っていたものでした。安価グレードか?少し高いグレードか?で、結局鏡面仕上げのウッディーさと電子制御のリニアなアーム動作にひかれQL-Y33に決めたのも思い出の一つです。

【仕様メモ】

駆動方式 FG検出コアレスDCサーボダイレクトドライブ
ワウフラッター 0.03%(WRMS)
SN比 75dB(DIN-B)
針圧可変範囲 0~3g、直読式、0.25gステップ
取付カートリッジ重量 14g~18g(シェル含む)
18g~23g(別売サブウェイトSW-F5使用時)
カートリッジ型式 MM型(Z-1S)
周波数特性 10Hz~25kHz
外形寸法 幅438x高さ143x奥行376mm
重量 5.8kg
別売 サブウェイト SW-F5(¥1,500)