ダックス ST50は、ほんの少しの間(10kmぐらい)だけウィリーするほどに調子よく走り出したのですが、同日再び試乗しようと思ってエンジン始動を試すが全く動く気配なし。仕方がないので、再度キャブレターを点検してみたところ始動したのだが、時々パシュとかエアの抜ける音とパンッといった破裂音が鳴ります。エンジンがかかって走り出しても、加速である程度以上の負荷がかかるとパンとかパチンといったエンジン方面から破裂音が聞こえてきます。
そのままアクセルを開けるとエンストしますが、その瞬間少し緩めると何とか持ち直します。
予備のキャブレターに変更しても同じ。
どうしたのでしょうか・・・?
点火タイミングを合わせる前以下のような気がします。
マフラーで鳴っているならアフターファイヤーで燃料がたいてい薄いとなるが、そうでない。
プラグの焼け具合も良い具合です。といっても指定6番のところ5番で焼けやすいプラグを使っているので、本当は少し濃いかも。
それなら、ならなおさらアフターファイヤーなどでない。
エンジンのヘッドあたりから聞こえる感じがします。
それでしリーンダー内の圧縮を計ってみました。
600kPa、600キロパスカル(換算6.1kgf/cm2)です。
ダメですね。10kgf/cm2以上欲しいところです。
エンジン内の不具合を確信。
エンジンを開けてみることにしました。
どこまで開けるかわかりませんが取り掛かります。
実はエンジンばらしは人生初です。
といっても部品が正常なら簡単そうです。
キタコのYoutubeビデオをみながら分解。
フロントフェンダーがヘッドを外すのに邪魔なので外しました。
マフラーにチェーンカバー、ポイントカバー、タペットカバーも外しました。
フライホイールのTマークをエンジンケースのTマークにあわせました。
カムスプロケットの蓋を反対側からネジを緩めて外しました。
実は少し前に、ここのガスケットを交換済みだったので、完全固着しておらず比較的簡単に外れました。
フライホールを回しながら、カムスプロケットの○印をバイク前方にある切り欠きに合わせました。
ついで、チェーンとカムスプロケットの位置合わせを塗料で付けておきました。
さらにヘッド横のボルトを外しました。(写真右側の穴:既に外し済み)
これで前側にある袋ナット3本と普通のナット1本を外しました。
では、ヘッドをずらします。
ヘッドが無事外せました。
思ったより綺麗だぞ!
実は、入手直後ピストンの頭をプラグ穴から覗き込んだ時、使ってないのかと思うほどピカピカの地金が見えて驚いていたのだった。
それより、ヘッドとシリンダーブロックの間のガスケットが全体オイルまみれ。
ゆるゆるです。(写真は既に掃除済み)
どうりでオイルが偶に垂れてくるわけですね。
(見て見ぬふりしていました)
これが圧縮漏れの原因か?
(調べてみると緩みぐらいでは、そのにじみ出たオイルのおかげで封され圧縮は出来るらしい)
ヘッドのネジはしっかり締められていましたが、どういうことでしょうか?
ボルトをよく見ると、結構ヘッドから出ている様子。
袋ナットの長さと同じぐらいです。
長年使われてきて伸び切ったのでしょうか。
それで、袋ナットの奥まで入り、固く締まっているようで、実はゆるゆるだったということでないでしょうか。
ガスケットには圧着跡がくっきりありますが、ゆるゆるだったということは、使いまわしでしょう。
既に延びやすくなっているなとは思いつつ、スタットボルトの交換も考えましたが、シリンダーブロックのガスケットが完全貼りついているようですので、そこは手をつけないよう深さのある袋ナットを買って対処します。
多分、前オーナーは10年以上眠らせていたというが、現役終盤にこの辺りを弄って眠らせていたのかもしれない。
次に、バルブを確認しました。
吸気ポート側からパーツクリーナーを入れてみると、シリンダー側に漏れてきます。
滲みだしてくるどころか噴き出してきます。
これはカーボン噛み。
排気ポート側は、まったく漏れません。
動画のお手本をみて、「コッターピン外すとめんどうだなぁ。バルブを付けるときは専用工具いるけどないので入手しないとなぁ。」とか頭の中をよぎります。
とりあえずエンジンコンディショナーで対処してみることにしました。
インテークマニホールド側からエンジンコンデショナーを入れてみます。
コンディショナーで満たされたマニホールド側の穴を覗いた写真(写真下がラッパ状態の部分)
パーツクリーナーと同じようにシリンダー側に漏れ出してきます。
これで除けるのかわかりません。
10分放置後にパーツクリーナーで洗い落としながら再度隙間があるか確認。
まだ漏れ出してきます。
これを2度繰り返したのですが、吹き出しが少なくなり若干改善したかなぁ程度。
再度、エンジンコンデショナーをしてみたりしながら観察すると、バルブに10円玉で回してくださいと言わんばかりの切り欠き状の窪み。
この窪みに10円玉をあてるとピッタリ!
本当にそのためにあるのではと思いました。
それで押し当てながら回してみると、バルブが回りました。
この状態で、何度か回しながらさらにクリーナー付けをすると、ついに漏れがなくなりました。
比較的新しいカブ系エンジンのバルブは切り欠きのような窪みなくすっきりしているのですが、古いカブ系エンジンの場合はこのような窪みがあるようです。
想像にすぎませんが、かつてバルブすり合わせ用に用意された窪みでは?と思うのでした。
とりあえず、これでカーボン噛みと思われる汚れは落ちたようです。
そのほか、シリンダーも点検したところ、最大5mmぐらいの丸い錆跡らしき若干濃い色の変化がぽつぽつとあるけど触っても凹凸感じないので、ここまででOKとしました。
これで不具合が治まればいいのですが。
つづきは、しばらく日にちが経ってから、カテゴリーでダックスを選択してください。
(参考)
インレットバルブ&エキゾーストバルブ 14711-036-000 14721-036-010
(あとがき)
久しぶりに使う呉のエンジンコンディショナーが懐かしい香りで思い出しました。ずいぶん昔、父から借りたカローラ4ドアセダン 1500GLサルーンのキャブにこれを吹き入れて洗浄したところ、吹き上がりが鋭くなって感動したことがありました。
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エンジンの健康状態がわかりますね
つかっています