セカンドストリートのジャンクコーナーに埃をかぶり古ぼけたレコードプレーヤーがあったので入手してみました。プレーヤーは Pioneer PL-1050W で カートリッジ は 同社 PN-110/Ⅱたぶん。
たぶんというのは、PN-110 無印 と Ⅱ の違いが判りません。私が調べた限りでは、かたちが同じでインピーダンスが違うぐらいです。
(画像には映っていませんが、ダストカバー、針折れカートリッジ・シェル付き)
厚みが薄くスマートな木目調の基材はパーティクルボード40mm厚とのこと。埃を吹き払い磨けば綺麗なウッドが現れました。
トーンアームのアンチスケーティングは錘を使った糸吊り式。これが今となっては物珍しく入手の決め手となったのでした。
コンセントに刺してアームをテーブル中心にもっていくとモーターが動き出しました。モーター軸を触れるとトルクフル!
生きているじゃん。
しかし、しばらく動かしていると、モーターの軸からキーというような音が発生しました。('◇')ゞ
頭の中で、今までの経験データベースと音がなる構造的想像的理解をぐるぐる張り巡らし、トラブルシューティング方法を選定します。
結果は「油切れだろ」経験データベースによるシミュレーション結果は単純なものでした。
カメラ修理に使用していたジャパンホビーツールの超極圧潤滑剤を紙先に含ませ、極僅かで塗ってみたところ解消、静かにスムーズに回るようになりました。
これで使えるめどが立った。
あとは雑多な手直しが必要でした。
前回のVictor のレコードプレーヤーと同様に、ウェイトの金属部分と樹脂部分の間の接着が外れてスカスカでした。この機種のウェイトはもともとゴムボンドで接着されていましたので、今時の高性能ボンドに変えるべく、コニシボンド ウルトラ多用途 SU を少量付けて再接着しました。
ちなみにウェイトは画像のように目盛り部分を引っ張ると軽くツメで引っ掛かっているだけなので外れます。この目盛りは本体と接着してはいけませんし、この目盛りが触れる機構部分に接着剤などがはみ出ないようにもします。この目盛りは、はめた状態でクルクルスルスル廻るようにしておくのが正常です。
なかったターンテーブル用ドライブベルトを今回はAmazonで調達。レコード用品メーカーで有名なナガオカ製のものにしました。ナガオカ レコードプレーヤーベルト B-30φ190/t0.7/W5でばっちり。60cm 厚み0.7mm 巾5mm という仕様のベルトです。
【ターンテーブルのドライブベルト交換方法】
ここで紹介する方法は、概ねほかのプレーヤー機種でも同様でしょう。
まず、ゴムマット部分を持ち上げて取り外します
穴の開いた円盤部分が現れます。これをターンテーブルと呼びます。古いベルトが付いている場合は手でくるくる回してモータ軸にベルトが付いている部分を出して、軸に引っ掛かっているベルトを外しておいた方が良いでしょう。
穴にボーリングボールを持つかのように指を入れて持ち上げます。軸に食いついて持ち上がらないときは前後左右に振りながら上に「ウガー」と叫びながら持ち上げると普通は上に抜けます。
前後左右に振るといっても軸が曲がるような力のかけ方はNGです。
軽金属鋳造ですので、片手で持てるほどで重くはないですが、大きいので他にぶつけないよう注意します。
外れるとこんな感じです。軸とモーター軸以外何もないですよ。モーター軸が細いのでむやみやたらに横から力を加えると曲がりそうです。絶対にしないでください。曲がると回転が安定しなくなり音に影響します。
新しいベルトを取り付けてみましょう。
外したターンテーブルの裏を見てみましょう。外周と中心の間に丸い円状の部分があります。
ここに平たいドライブベルトをはめ込みます。
手前過ぎず奥過ぎず、適当な位置にはめ込んでおきましょう。この時爪楊枝や紐を画像のように割り込ませておくと後で楽です。
ただし、このプレーヤーの場合は穴が大きいので、これがなくとも何とかなるとは思います。
ターンテーブルを本体の軸に戻します。戻したら手で回して爪楊枝や紐の位置をモーター軸の部分に合わせます。
ここで慌てずしっかりと爪楊枝をつかみ、紐の場合は両端を持ち、ベルトをモーター軸の方にもっていき軸に引っ掛けます。
爪楊枝じゃ細くて力が入らないというのであれば、お箸などでも良いかもしれません。ゴムや周囲にあたっても傷がつきにくい木製や樹脂製のものが良いと思います。
紐のほうが楽かもしれせん。
紐で引っ張り出し、お箸などで軸へ持っていくと連係プレーも良いでしょう。
どれが良いかはプレーヤーの状態によりますね。
失敗したら、爪楊枝の先でゴムとターンテーブルの間にゴムを傷つけないよう割り込まして、再度チャレンジするか、最初からするかです。
軸にかかりましたら第一段階成功です。
ここから二段階です。まだ電源を通してはいけません。
ターンテーブルをゆっくり手で回して、ゴムがずり落ちないかテストします。回していくにつれズレていく場合は、手で少しガイドしながら強制的に落ちないようにしつつまわすのも良いと思います。しばらくまわしてみてガイドしなくとも落ちなくなったらOKです。
他のプレーヤーで、どうしてもズレ落ちる場合はベルトが長いことが想定されます。さらに短めのベルトにしてみましょう。
ズレ落ちなくなったら、電源を入れて、モーターを動かしてみても良いでしょう。これでベルトが外れずテーブルが回れば良いです。
ゴムマットをターンテーブルに戻して完成です。
【以上、ベルトの交換方法終了】
ベルトを取り付けて、ストロボスコープで調整すると、ピッチコントロールですぐに安定した回転に調整できました。
もうひとつ、付属のカートリッジ PL-110/Ⅱの針先がありません。
これも新品で調達しました。yodobashi→ナガオカ NAGAOKA G 71-110/2 [レコード針]
ヘッドシェルは、フックが折れていましたので、100円ほどの細いオーク材をホムセンで調達し加工しました。取り付けてみましたところ、カントリーな感じで良い感じでした。
環境はそろいましたので聴いてみました。
問題ありません、良い音が出ています。どちらかというと少し低音域がまろやかに押し出る音がしますが、普通な感じの音です。アナログレコードですといったようなイメージの音です。(個人感)
さて、ここまで作業をして復活させたPioneer PL-1050Wですが、この先の作業として錆び落としなどメンテナンスするところが多く、既に Victor のレコードプレーヤーで事足りているので惜しくも手放すことにしました。
これから使うかもしれない方のために、後方の化粧板が剥がれていたのでボンドを塗布して接着しました。
カートリッジ PL-110/Ⅱだけは手元に残しました。典型的なMMカートリッジの代表的な音がすると、どこかのブログで見たので、しばらく基準的なカートリッジのひとつとして取っておくことにしました。
Amazonで探してみました
PL-1050W 付属カートリッジの交換針
PL-1050Wに適合するベルト
オーディオなど精密機器用極圧潤滑剤